形だけ二十歳。
今週のお題「20歳」
選挙権を持つ歳である。
私はついこの間、二十歳になったばかりだ。
選挙権を持つからと息巻いてそれを心待ちにしていたわけでもなく、
専門学校の帰りにモスバーガーに寄って
食べたかったエビカツバーガーをお持ち帰りして一人楽しくパソコンと向かい合ってよろしくやっている間に二十歳を迎えた。
なんだかもう小さい頃の自分に
こんなもんだと諭し、平謝りしたいどころかジャンピング土下座である。
親元を遠く離れて海を越え、二年無いし、
一年と半年ちょっと一人暮らしをして何か変わるどころか何一つ、変わらない。
相変わらず恋人どころか友達はいないし、趣味に没頭して引きこもりがちではあるが時たまなるホームシック以外は何不自由なく暮らしていた。
ルームシェアという魔が差すまでは。
あと少しで学校を卒業し社会人となるというところまできて、なんとあろうことか人恋しさに軽々と負けてしまったのである。なんと、まあ、情けない。
卒業し他人と仕事という場面でしか会わなくなることへの恐怖と
金銭面での心配から
とどのつまり、私は逃げたのだ。
極度の人嫌いだということも忘れて。
ルームシェアをはじめてからというもの
眠れない日々が続いた。
ルームメイトのFとは育ってきた環境が異なりすぎるのだろう。Fのことをマッハ3くらいはあろうというスピードで嫌いになっていっている私がいた。
悪いやつではないのだ。悪いやつでは。
ただ、ダンゴムシが人間をやろうとしているような違和感のあるやつなので私には到底理解の及ばない暮らし方をする。
その為、一人暮らしだったときの生活以上に他人に合わせることの難解さと不可能さを思い知らされた。
ホームシックが止まらない。
あの頃に帰りたい。
いろんなものから逃げたい私はここ数週間、そればかり考えている。
ひとまずここを出ることに決め、貯金と節制を志す私であった。
貯金と節制
それが私の二十歳になりそうである。